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文献詳細

雑誌文献

臨床検査27巻11号

1983年11月発行

文献概要

特集 臨床細菌検査 Ⅲ.疾患別検査の進め方

2.呼吸器 1)上気道

著者: 杉田麟也1

所属機関: 1順天堂大学耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.1230 - P.1238

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 上気道は固有鼻腔にはじまり,咽頭(上咽頭,中咽頭,下咽頭)および喉頭からなり付属器官として中耳腔と副鼻腔がこれにつながる.上気道は外界と接し,空気や食物の通り道でもあるので粘膜に種々の細菌が付着しうる.上気道粘膜は,通常は常在細菌叢により感染から守られているが常在菌叢に乱れが生ずると外界から侵入した菌が増殖し感染を起こすことになる.気道の粘膜は固有鼻腔から下咽頭までひとつづきであっても,感染の主役となる細菌は上気道でも部位によって異なる.細菌の種類によって感染しやすい部位があり,例えば中咽頭,扁桃はStreptococcus Pyogenesが,上咽頭はHaemophylus influenzaeとStreptococ-cus Pneumoniaeが感染の中心となる傾向がある.
 上気道に感染がおきたときに細菌検査を実施すると,原因菌とともに常在菌叢を形成する細菌も検出され,臨床的に原因菌と常在菌も区別することが必要となる.起炎菌を正しく判断することが感染症治療の重要な鍵である.そのためには,①細菌培養の検体を病巣部位から汚染を防いで確実に採取すること,②検体採取直後からの保存,③適切な培地選択,④上気道各部位での常在菌についての知識,などが必要となる.本稿では中耳炎,副鼻腔炎を含めた上気道感染症の起炎菌決定に必要な事がらにつき述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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