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文献詳細

雑誌文献

臨床検査27巻12号

1983年11月発行

文献概要

分離分析の技術Ⅱ・11

薄層ゲル濾過法—(1)蛋白質の分子量測定

著者: 須藤加代子1

所属機関: 1浜松医科大学附属病院検査部

ページ範囲:P.1514 - P.1522

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 薄層ゲル濾過法(thin layer gel filtrationあるいはchromatography.以下,TLGC)を用い蛋白質を分子の大きさの差異を利用して分離しようとする試みはJohanssonら1,2),Hofmann3),右田4)により報告されている.さらに1968年河合ら5,6)により日常検査法として確立され,その臨床応用が報告されている7〜10).TLGCによる分子量の測定はMorrisら11),Andrews12),Radola13)により詳細な検討がなされている.
 臨床検査において血清および尿中蛋白質の分子量を測定することは,M蛋白質の分子量測定,蛋白複合体の存在の確認,膜成分の血中への流出の確認,濾出蛋白の分子量の測定による腎臓の状態の把握など,その必要性が増してきている.TLGCは試料が微量(5〜10μl)でかつ短時間(5〜20時間)に分画可能であり,溶媒を種々変化(pH変化,塩濃度変化,尿素添加,2—メルカプトエタノール添加など)させることにより,その蛋白の性状を推定できるという特長を持っている.また,薄層ゲル濾過後に免疫反応を併用することにより,さらに情報が増加する14〜17).また,酵素蛋白の同定には,検出法を酵素活性染色に変化するだけですべて応用可能である18)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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