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ベッドサイド検査法・3
酸—塩基平衡のベッドサイド検査法
著者: 高折益彦1
所属機関: 1川崎医科大学麻酔科
ページ範囲:P.303 - P.308
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"酸—塩基平衡障害が生体機能に何か好ましくない影響を及ぼすことはわかるような気がするが,具体的になぜ好ましくないのか"という質問を耳にする.
われわれ生体を構成しているものは細胞であり,その個々の細胞がそれぞれ機能を営み,しかる後それらが連合してさらに一つの大きな機能を構成してくる.すなわち基本になる個々の細胞機能が十分行われない限り一つの臓器,一つの系の機能を全うすることができない.その個々の細胞の機能を全うすることは細胞内のエネルギー代謝を正常に保つこと,細胞膜内外のイオン較差を正常に保つことによって成り立っている.この面において血液酸—塩基平衡,組織液酸—塩基平衡の重要性が認められるとともに,とりわけこれら体液のpHの変動についての重要性が強く取り上げられる.すなわち生体の個々の細胞の生活はすべて酵素活動に依存しているが,その酵素活動はその酵素が存在する溶媒(medium)のpHに影響を受けている.もちろん酵素系にもきわめて狭いpH範囲内にて至適活性を有するものと,比較的広いpH範囲内で十分な活性を有するものとがあり,溶媒のpHの絶対性を問うものではないが,そのpHの恒常性が得られていることが細胞機能,ひいては生体機能の良否を左右する重要な鍵となっている.
"酸—塩基平衡障害が生体機能に何か好ましくない影響を及ぼすことはわかるような気がするが,具体的になぜ好ましくないのか"という質問を耳にする.
われわれ生体を構成しているものは細胞であり,その個々の細胞がそれぞれ機能を営み,しかる後それらが連合してさらに一つの大きな機能を構成してくる.すなわち基本になる個々の細胞機能が十分行われない限り一つの臓器,一つの系の機能を全うすることができない.その個々の細胞の機能を全うすることは細胞内のエネルギー代謝を正常に保つこと,細胞膜内外のイオン較差を正常に保つことによって成り立っている.この面において血液酸—塩基平衡,組織液酸—塩基平衡の重要性が認められるとともに,とりわけこれら体液のpHの変動についての重要性が強く取り上げられる.すなわち生体の個々の細胞の生活はすべて酵素活動に依存しているが,その酵素活動はその酵素が存在する溶媒(medium)のpHに影響を受けている.もちろん酵素系にもきわめて狭いpH範囲内にて至適活性を有するものと,比較的広いpH範囲内で十分な活性を有するものとがあり,溶媒のpHの絶対性を問うものではないが,そのpHの恒常性が得られていることが細胞機能,ひいては生体機能の良否を左右する重要な鍵となっている.
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