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文献詳細

雑誌文献

臨床検査27巻7号

1983年07月発行

文献概要

研究

グリセロールを含む脳圧降下剤が酵素を用いた血清中性脂肪測定に及ぼす影響

著者: 園田信五1 加藤淳子1 春日信司1 土屋富貴子1 木全恵理子1 影山信雄1

所属機関: 1社会保険中京病院検査部

ページ範囲:P.809 - P.811

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まえがき
 中性脂肪の酵素的測定法は,1966年EggsteinとKrentz1)がアルコール性水酸化カリウムで中性脂肪をケン化してグリセロールを生じせしめ,このグリセロールを酵素によりUV法で測定する方法を報告したことが始まりであり,1972年高橋2)が細菌由来のリポプロテインリパーゼ(LPL)を用いた測定法を報告してから,各種の測定法が開発された.酵素を用いた中性脂肪測定法は,筆者ら3)がすでに報告しているように,血清盲検が必須の条件である.その一例として,LPL-2,4-DNPH法で中性脂肪を測定していると,時に非常に高い血清盲検値を示す血清に遭遇することがあり,その原因を調べたところ,いずれも脳圧降下剤としてグリセロールを含む補液が直接静脈内に点滴注入されている患者由来の血清であることがわかった.
 脳圧降下剤によるこの妨害はすでにいくつかの報告3〜6)があるが,時に生体に投与されたグリセロールの消長,測定方法による影響の差などについての具体的な報告に接しない.そこで,繁用されている酵素を用いた種々の血清中性脂肪測定法に,このような血清がどのような影響を与えるのか検討し,二,三の知見を得たので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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