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今月の主題 血栓症 技術解説 血栓準備状態の検査法
3・フィブリノペプチドBβ15-42
著者: 池松正次郎1
所属機関: 1東京医科大学臨床病理学教室
ページ範囲:P.20 - P.24
文献購入ページに移動 フィブリノゲンのN末端においては,トロンビンが作用するのとα鎖からフィブリノペプチドA,β鎖からはフィブリノペプチドBが遊離され,プラスミンはβ鎖のArg (42)とAla (43)との間を切断する.このβ鎖N末端に対するプラスミンの作用は線溶初期において起こる反応であり,線溶現象の動きを把握するうえでは重要な意義を持ってくる.フィブリノゲンβ鎖N末端に関してみればトロンビンとプラスミンの両方の酵素の侵襲を受けることになり,プラスミンによって遊離されるフィブリノペプチドBβ15-42あるいはBβ1-42の出現は,フィブリノゲンがフィブリンI,フィブリンⅡへと転換していく過程の中で,フィブリンの重合反応,ⅩⅢ因子による架橋反応,そして線溶反応の複雑なからみの流れの解析に大きな役割を担っていると期待されている.つまり,線溶反応の結果を鋭敏にとらえるだけでなく,線容初期の分解物をとらえることによって血栓準備状態から血栓症への移行具合,血栓の被線溶性の具合などを早期に診断しうる一つの手がかりとなる検査法である.
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