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特集 産業医学と臨床検査 Ⅱ.有害因子と臨床検査 2 化学的因子
11 ヒ素
著者: 稲益建夫1 石西伸1
所属機関: 1九州大学医学部衛生学教室
ページ範囲:P.1396 - P.1401
文献購入ページに移動□はじめに
ヒ素(As)は自然界に広く存在しており,人間生活とのかかわりにおいても古い歴史を持っている.一般に,ヒ素は《強力な毒物》との印象を持たれているが,医薬品をはじめ農薬,顔料,殺鼠剤,ガラス,半導体,特にヒ素ガリウム素子など多方面で使用されており,現代の日常生活の中でも有益な活用がなされている.
ヒ素化合物には多くの種類があり,それぞれその物理的,化学的性状を異にしている.その生体作用にも相違がみられる.無機ヒ素化合物と有機ヒ素化合物に大別されるが,天然には無機体として存在しており,有機体の多くは人工的に合成されたものである.最近,無機体のヒ素が生体内で有機化されること1)や,高濃度のヒ素を含有するある種の海産植物や動物体の中のヒ素が有機体であること2,3)が発見され,ヒ素化合物の化学形態と生体作用との関係に強い関心が持たれてきている.
ヒ素(As)は自然界に広く存在しており,人間生活とのかかわりにおいても古い歴史を持っている.一般に,ヒ素は《強力な毒物》との印象を持たれているが,医薬品をはじめ農薬,顔料,殺鼠剤,ガラス,半導体,特にヒ素ガリウム素子など多方面で使用されており,現代の日常生活の中でも有益な活用がなされている.
ヒ素化合物には多くの種類があり,それぞれその物理的,化学的性状を異にしている.その生体作用にも相違がみられる.無機ヒ素化合物と有機ヒ素化合物に大別されるが,天然には無機体として存在しており,有機体の多くは人工的に合成されたものである.最近,無機体のヒ素が生体内で有機化されること1)や,高濃度のヒ素を含有するある種の海産植物や動物体の中のヒ素が有機体であること2,3)が発見され,ヒ素化合物の化学形態と生体作用との関係に強い関心が持たれてきている.
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