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文献詳細

雑誌文献

臨床検査28巻11号

1984年11月発行

文献概要

特集 産業医学と臨床検査 Ⅱ.有害因子と臨床検査 2 化学的因子

12 有機溶剤

著者: 竹内康浩1

所属機関: 1名古屋大学医学部衛生学教室

ページ範囲:P.1402 - P.1411

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□有機溶剤の種類と使用の実態
 有機溶剤は,非水溶性の油脂,樹脂などの有機化合物を溶解して均一な溶液を作り,この溶液から溶剤を除けば溶質が回収できる有機化合物の総称である.工業的には塗料,インキ,接着剤などの溶媒,金属製品の脱脂洗浄剤,衣類の洗浄剤,食用油脂の抽出溶媒などに広く使われている.有機溶剤の種類は化学工業の発展に伴って著しく増加した.最近,研究用や工業用によく使用されている有機溶剤の種類は449種に達している1).これらすべてが本項の対象となるが,わが国の有機溶剤中毒予防規則(有機則)ではこれらのうち,①有害性が強いものと,②健康障害が多発するおそれのあるものを選び出し,さらに物理化学的性質,使用の実態,生産量,障害事例などの面から総合的に判断されて,表1に示した54種が法規制の対象とされている.ただし,ベンゼンは造血器に対する毒性が強く,発癌性(白血病の原因物質)を有しているために,特定化学物質等障害予防規則の第2類物質として規制されている.
 1980〜1981(昭和55〜56)年に全国の七つの大学・研究機関を通じて,1,179検体の溶剤製品を収集し,分析した結果を,表2に示した2,3).一般に工業的に使われている溶剤成分の大部分は,有機溶剤中毒予防規則に列記されているものであった.また,有機溶剤は数種が混合されて使われることが多い.特殊な使用方法や新しい溶剤による中毒にも注意する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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