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文献詳細

雑誌文献

臨床検査28巻11号

1984年11月発行

文献概要

特集 産業医学と臨床検査 Ⅱ.有害因子と臨床検査 2 化学的因子

15 硫化水素

著者: 山口裕1

所属機関: 1昭和大学医学部公衆衛生学教室

ページ範囲:P.1421 - P.1427

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□はじめに
 硫化水素(H2S)は火山や温泉のガスとして,また自然界の硫黄循環の過程でもつねに生成されている,もっともありふれたガスの一種であるが,人間生活の営みの中で,環境汚染の結果としても大量に発生しており,また工業的にも,例えば石油の脱硫処理の際にも大量に生成し,利用されている.これが遊離のガスとしてヒトに呼吸された場合は,瞬時に恐るべき毒性を発揮し,重大な結果をもたらす.
 硫化水素中毒は現在日本の産業中毒の中で,酸素欠乏症と並んで最多発しているものの一つである.高濃度の原材料物質としての硫化水素は,特定化学物質等障害予防規則(特化則)でその取扱上の安全衛生管理や取扱従事者の健康管理が定められている.また一般の自然発生的な硫化水素に対しては,酸素欠乏症等防止規則の中で中毒防止措置が規定されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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