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文献詳細

雑誌文献

臨床検査28巻12号

1984年11月発行

文献概要

今月の主題 臨床検査の標準化 総説

血液型抗体の標準

著者: 安田純一1

所属機関: 1国立予防衛生研究所血液製剤部

ページ範囲:P.1569 - P.1576

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標準が無い「標準化」
 「標準という言葉ほど,標準を決めずに各人各様の理解で用いられているものは無い」という意味の発言をどこかで聞いたことがある.血液型判定用血清の標準化の動きは,まさしく,いくつかの異なった見解の併立と妥協の繰り返しであった.まず,WHOのExpert Committee on BiologicalStandardization (ECBSと略)による血液型判定用血清の国際標準品設定の経過を紹介したい.この分野でわが国からの正式な貢献は何もなされていないが,そのうち1970年以後の責任は筆者自らが負うべきであることを,初めにお断わりしておかなくてはならない.
 安定な標準品に単位を設定し,それとの比較により検体の力価を相対的に表現するという概念はEhrlichに発している.彼は最初,500MLDのジフテリア毒素を中和する抗毒素量を1単位と決めたが,抗毒素の国際標準品によって単位が規定されるようになってからは,最初の定義そのものは意義を失った.言うまでもなく,モルモットに対するMLD (最小致死量)を基礎にして抗毒素の側を定量するとなると,使用する動物をはじめ,実験条件をこと細かに規定しておかないと,相互に成績を比較できない.しかし,安定な抗毒素の標準品があれば,これと検体とを同時に試験し,その活性の比を標準品に対して規定されている単位に乗ずることで,検体の力価を単位で表現できる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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