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文献詳細

雑誌文献

臨床検査28巻13号

1984年12月発行

文献概要

今月の主題 アポ蛋白 総説

アポ蛋白;その性状と機能

著者: 山本章1 横山信治2

所属機関: 1国立循環器病センター研究所病因部 2国立循環器病センターリウマチ研究室

ページ範囲:P.1693 - P.1702

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はじめに
 血液を介する脂質の搬送には二つの形式がある.一つはアルブミンと結合した遊離脂肪酸(FFA)であり,脂肪組織の中性脂肪(トリグリセライド)がホルモン感受性リパーゼの作用によって分解し,生じた脂肪酸を全身諸組織にエネルギー源として供給するものである.もう一つは,腸管から吸収された脂質や肝臓で合成した脂質を主に脂肪組織と筋肉,その他末梢組織に向けて搬送し,あるいは末梢組織から余剰のコレステロールを奪って肝臓に回収するなどの目的をもって作られたリポ蛋白である.
 リポ蛋白はその基本構造として,いくらかのコレステロールエステルを含んだトリグリセライドの微粒子をcore (芯)とし,その表面をリン脂質とコレステロールから成る一層の膜(surface coat)で被い,さらこれに個有の蛋白質が附着した形をとっている1〜3).すなわちリポ蛋白とは,糖蛋白やヘム蛋白とは違って,脂質と蛋白質間に共通結合のような強固な化学結合があるのではなく,ファンデルワールズ力を主として比較的弱い結合でつながれている.そのためリポ蛋白という名に代えて"lipid protein complex"という呼び名を用いたほうがよいという考え方もある.いずれにしてもこのリポ蛋白に個有の蛋白質はアポリポ蛋白(略してアポ蛋白)と呼ばれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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