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文献詳細

雑誌文献

臨床検査28巻2号

1984年02月発行

文献概要

今月の主題 性行為感染症(STD) カラーグラフ

性行為感染症(STD)

著者: 三輪谷俊夫1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所

ページ範囲:P.122 - P.123

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 わが国の性病予防法(法律)にもあるように,かつて性病venereal diseaseといえば,梅毒syphilus,淋病gonorrhea,軟性下疳soft chancle,鼠径リンパ肉芽腫症(第4性病) Lynphogranuloma venereumであった.しかし,時代とともに社会は変遷し,人間関係とくに性の開放という名のもとに性道徳・性行為に大きな変革をもたらした.このため,これら四つの疾病のみでは性行為に伴う感染症に対応することができなくなり,性行為によって相手方に伝播するすべての疾患——四大性病以外に非淋菌性尿道炎,トリコモナス症,陰部ヘルペス,尖圭コンジローム,腟および外陰部カンジダ症,毛じらみ,疥癬などはもちろんのこと,オラール・セックスやアナール・セックスによって感染する赤痢やサルモネラ症までも含めて性行為感染症sexually transmitted (またはtransmittable) diseases(STD)と呼ばれるようになってきた.STDの感染の原因が必ずしも性交だけによるものでないことはもちろんのことであるが,変則的な性交によって相手方に感染させる疾病であって,欧米諸国とともにわが国においても年々増加しており,社会的にも重要な問題になりつつある.梅毒ですら初発感染病巣である初期硬結が性器(外陰部も含めて)のみに現われるとは限らず,口腔・咽頭・咽喉粘膜にあるかもしれないのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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