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文献詳細

雑誌文献

臨床検査28巻2号

1984年02月発行

文献概要

今月の主題 性行為感染症(STD) 総説

性行為感染症—最近の動向

著者: 岡本昭二1

所属機関: 1千葉大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.153 - P.159

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はじめに
 性行為感染症はsexually transmitted diseases(以下STDと略す)の邦訳である.この言葉は1970年代の初めごろから欧米において使用され始めた.これらの諸国では性の解放の動きにつれて,まず経口避妊剤であるピルが自由に服用できるようになり,このため女性たちが自分の意志で妊娠をコントロールできるようになった.このような妊娠からの解放が始まると,男女間の性行為が活発となり,淋疾を中心とする性病の増加が目だってきた.さらに従来の性病に含まれていないChlamydiaなどによる非淋菌性尿道炎の流行,単純性疱疹ウイルスによる陰部疱疹の増加,さらに毛ジラミ症や疥癬など寄生性疾患まで,性行為に伴って起こる各種の感染症の増加がみらた.
 ほぼ時期を同じくして,欧米では男性間における同性愛が公認されて,法律上罰せられないことになった.このため男性間同性愛が欧米諸国の大都市に住む男性の間に広がっていった.このような同性愛男性の間に行われる性行為の大半が肛門性交(anal coitus)によるために,直腸の中に存在している細菌,ウイルス,原虫などが体外へ持ち出されて,経口感染をするようになってきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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