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研究
セラミック片移植組織の切片作製法
著者: 戸田好信1 福本学1 岩永迪孝2 立石哲也3 細井久雄4 翠川修4
所属機関: 1京都大学医学部総合解剖センター 2京都大学医学部附属病院耳鼻科 3工業技術院機械技術研究所バイオメカニクス科 4京都大学病理学教室
ページ範囲:P.966 - P.970
文献購入ページに移動近年,医用生体用材料の開発,改良には目覚ましいものがある.現在,生体用材料として大別すると,金属材料,有機材料としてテフロン系,シリコンゴムなど,およびセラミックスの無機材料がある.これらの中で,無機材料のセラミックスは化学的に安定であり,物理的にも,その高硬度高耐熱性ゆえに変形しにくいという特徴があるため,生体用材料として注目されている1,2).現在,生体用セラミックスとしてアルミナ・セラミックス,リン酸カルシウム系セラミックス,カーボンなどが開発されているが,中でもアルミナ・セラミックスは以下に述べるような種々の点で優れているため,もっとも実用化が進んでいる.すなわち,構成するイオンが強固に結合しているため化学的に非常に安定で,耐腐蝕性,耐摩耗性に優れ,機械的強度,硬さなどの物理的特性も金属とはかけ離れた値を示している.また,アルミナ・セラミックスの表面には酸素イオンが配列され,この酸素イオンに水分子が吸着されるため親水性にも優れている3)などである.
ところで,このような性質ゆえに,生体内へ移植埋没したアルミナ・セラミックスが,周囲組織へどのような影響を及ぼしているかを形態学的に検索するに当たって,アルミナ・セラミックスを含んだ光顕用切片を作製することが不可能であった.
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