icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻1号

1985年01月発行

文献概要

今月の主題 アルコール 技術解説

薄層ポリアクリルアミド等電点電気泳動による異常α1-アンチトリプシンの検出—特にアルコール依存症にみられる異常アンチトリプシンについて

著者: 三宅和彦1 伊藤善志通1 鳥居正男1

所属機関: 1帝京大学医学部第1内科

ページ範囲:P.27 - P.32

文献購入ページに移動
 薄層ポリアクリルアミド等電点電気泳動は再現性,分離能において優れ,多数の検体を同じ条件下で比較検討することが可能であり,臨床検査に適している,血清蛋白質分離後,特異抗血清を使用することにより,免疫固定プリント法によって容易に目的蛋白質の同定ができる.
 飲酒に伴い,血清糖蛋白質の一つであるα1-アンチトリプシンに質的変化――native α1-アンチトリプシンより等電点が高く,分子量が数千小さい――が惹起される.これは一過性変化であり,断酒により2〜3週間で消失する.異常α1-アンチトリプシンはアルコール依存症者で35%に検出され,対照の非アルコール性疾患では1例も認められなかった.異常α1-アンチトリプシンの生成は,アンチトリプシンの糖部分にシアル酸の不完全な付加が生じたためと推定され,過剰アルコール摂取に特異的変化であり,飲酒の程度を示す良い生化学的指標になるうるものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?