資料
EIA法による抗ATLA抗体測定用キットE−0733の検討
著者:
田口博國1
北川隆夫1
藤下雅敏1
新谷憲治1
三好勇夫1
所属機関:
1高知医科大学・第3内科
ページ範囲:P.91 - P.94
文献購入ページに移動
成人T細胞白血病(ATL)はいまだ確立した治療法が無く1),3〜6か月の経過で死亡するきわめて予後不良の疾病である.また,この疾患患者材料を用いて樹立された細胞株MT−2からは,多量のC型レトロウイルス(HTLV)が産生されていることが判明している2)が,いまだワクチンの開発には至っておらず,現在の時点で可能なことは,ただ,このウイルスの伝播を少しでも防ぐことしかない.HTLVの伝播経路として推定されているのは親から子,夫婦間3)および輸血4,5)の三つである.このうち親子,夫婦間の伝播の予防にはワクチンの開発を待つしかないが,輸血については,供血者のATL関連抗原(ATLA)に対する抗体のスクリーニングを行って,抗体陽性の血液の使用を制限すれば,確実にウイルスの伝播を防ぐことが可能である.われわれはこの目的のために,抗ATLA抗体の酵素免疫測定法(enzyme immuno assay;EIA)を開発した6)が,今回エーザイ株式会社によりそのキット化が達成されたので,多数の血清について従来の蛍光抗体法7)(IF)と比較し,検討を加えた.