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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻11号

1985年11月発行

文献概要

特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査 2 脂肪細胞の代謝

脂肪細胞の代謝

著者: 辻田隆広1 奥田拓道1

所属機関: 1愛媛大学医学部第2生化学教室

ページ範囲:P.1273 - P.1277

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脂肪細胞とは
 脂肪細胞から成る脂肪組織は,全身のいろいろな部位にくまなく分布している.すなわち,皮下,深部血管の周囲,腹腔内などに存在し,正常人はほぼ10kg前後の脂肪組織を有しているといわれている.脂肪組織の主な生理的機能は,エネルギーの貯蔵と供給である.グルコースと遊離脂肪酸の形で化学エネルギーを取り入れ,中性脂肪(トリグリセライド)の形に変えて貯蔵する.そして生体全体のエネルギー要求に応じて中性脂肪を分解し,遊離脂肪酸とグリセロールの形で蓄積されたエネルギーを放出する.脂肪組織には血管や神経が分布しており,この血管を通じて脂肪合成のための材料や代謝を調節するホルモンなどが脂肪細胞まで運搬されてくる.同時にまた,脂肪分解産物が血管を通って運び去られていく(図1).
 脂肪細胞は種々の特徴をもった細胞である.まず細胞の大部分は脂肪滴で占められ,細胞質は細胞周囲に狭い帯状を成し,いくぶん扁平になった核がみられる(図2).中性脂肪を主成分とする脂肪滴の表面には滑面小胞体が分布する.飢餓にするとその細胞容量は縮小し,肥満で増大するなど,脂肪細胞は伸縮自在である.細胞容量の変動は大部分,中性脂肪の増減に起因している.従来,脂肪細胞は代謝的に不活発な細胞ではないかと考えられていたが,きわめて活発に代謝している.エピネフリン,ACTH,成長ホルモン,インスリンなどに感受性を示し,代謝活性が変動する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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