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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻11号

1985年11月発行

文献概要

特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査 8 プロスタグランジン

トロンポキサンA2,プロスタサイクリンの測定を中心に

著者: 横田一成1

所属機関: 1徳島大学医学部生化学教室

ページ範囲:P.1465 - P.1472

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はじめに
 トロンボキサン(TX) A2は,血小板で作られる,寿命のきわめて短い生理活性物質で,血小板を強く凝集させ,血管を収縮させる.一方,プロスタグランジン(PG) I2(プロスタサイクリン)も不安定な物質で血管で作られて,血小板の凝集を抑制し,血管を弛緩させる.血管内では,これら二つの生理活性物質がバランスをとりながら作用して,血液循環の恒常維持に大切な機能を果たすと考えられている.詳しくは文献回)を参照されたい.
 TXA2とPGI2とも化学的に不安定で,血液中で自然分解して生物活性を失う.TXA2は特に不安定で,中性の水溶液中において37℃で半減期が30秒という速度で加水分解してTXB2に変わる.PGI2も半減期が約5分で,特に酸性条件下で急速に分解して,不活性な6—ケトーPGFになる(図1).このTXB2と6—ケトーPGFの両者は,それぞれ組織で生合成されたTXA2とPGI2を反映して測定の対象にされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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