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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻11号

1985年11月発行

文献概要

特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査 10 先天性脂質代謝異常

1.先天性アポ蛋白異常症—1)アポA-I,A-II欠損と変異種

著者: 武内望1

所属機関: 1愛媛大学医学部附属病院中央検査部

ページ範囲:P.1490 - P.1495

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概念
 アポA-I,A-II蛋白はそれぞれ分子量が28,100,17,400(二量体)ダルトンで243および154個のアミノ酸から成り,高比重リポ蛋白(HDL)の骨核を形成しているアポ蛋白である.アポA-Iはコレステロールのエステル化を行うレシチン:コレステロール脂肪酸転位酵素(LCAT)の活性化因子であり,末梢組織から肝へのコレステロールの転送に関与していると考えられている.これらは主として肝で合成されるが,アポA-Iは一部小腸で合成されるためカイロミクロン中にも含まれており,食餌性脂肪の吸収や代謝にもなんらかの役割を果たしている可能性もある.
 したがって,アポA-I蛋白の異常は血清HDL濃度の低下,コレステロールの代謝障害のみならず,カイロミクロンなどのトリグリセライド担送蛋白の代謝異常をもたらすことになる.このため血清コレステロールは低下し,特にHDL中のコレステロール(HDLC)はきわめて低値となる.逆に血清トリグリセライドは二次的なリポ蛋白代謝障害のため,むしろ増加する場合が多い.これはトリグリセライド担送蛋白の代謝に関与するアポCやE蛋白等を保持し,必要に応じてリポ蛋白に分配する役割をHDLが果たしているため,HDLの低下はこれらのアポ蛋白の供給を減少させ,代謝障害をきたすものと説明されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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