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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻11号

1985年11月発行

文献概要

話題

自動測定機器のクセ

著者: 林康之1

所属機関: 1順天堂大・臨床病理

ページ範囲:P.1523 - P.1523

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 自動測定機器にも人間と同じように,よく観察すると個性がある.壊れやすいというのはクセにはならないが,特定の場所だけ故障の原因になりやすいという妙な個性をもつ機械もある.ここで取り上げるのは,測定値に関連したクセで,同一仕様・同一性能の自動測定機器でも多少高めに出たり,同時再現性,日差再現性に差があったりする点である.
 現在普及しているH社の臨床化学自動分析装置の同一型式のものを利用している6施設での血清総コレステロール,中性脂肪などのQC成績を比較すると,日差CV値にして施設間差すなわち機器差であるが2倍以上の開きが認められた.総コレステロールの悪いところは中性脂肪の日差CV値も悪く,逆も成り立っている.中性脂肪は試薬の問題も指摘されるのであるが,あまり試薬メーカー差と測定値の差を問題にされない総コレステロールの日差CVが中性脂肪の日差CVと比例しているわけで,分析装置による差を否定することはできない.つまり,同一装置でも多少は装置に当たり外れがあるであろうし,使いかたの上手,下手もあって,いちがいにはいえないが,機械の個性も無視できない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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