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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻11号

1985年11月発行

文献概要

特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査 10 先天性脂質代謝異常

4.家族性高コレステロール血症

著者: 横山信治1

所属機関: 1国立循環器病センター研究所病因部リウマチ研究室

ページ範囲:P.1531 - P.1536

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疾患の概念
 肝から,主としてトリグリセライドの担体としてアポB100をもって分泌される超低密度リポ蛋白質(VLDL)は,脂肪組織や筋でリポ蛋白リパーゼによる水解によってトリグリセライドを積み下ろし,末梢組織から捨い上げられてHDLでエステル化されたコレステロールが血流中で積み込まれて,低密度リポ蛋白質(LDL)となる.これは細胞膜に存在し,LDLを認識する特異的レセプター(LDLレセプター)に結合して細胞内に取り込まれる.コレステロールの主要な合成,異化の臓器である肝で最も多くのLDLが処理されるが,ステロイドホルモン合成のために,コレステロールの需要の大きい副腎のような臓器では重量当たりの処理量は大きい.
 血漿LDLの除去率は正常者ではコレステロールにして1日1.5g程度であり,その2/3(1g)はこのLDLレセプターを介して行われる.残りの1/3(0.5g)はスカベンジャー経路(scavenger pathway)と呼ばれる,おそらくは変性したLDLを取り込む貪食細胞により処理されるものと考えられている1).レセプターによって取り込まれたLDLは,細胞内でのコレステロール合成への負のフィードバック(negative feedback),レセプター自身の合成の抑制など重要な制御機構に連動するが,スカベンジャー経路による取り込みにはこうした特異的効果はない(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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