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今月の主題 細菌同定の迅速化へのアプローチ 技術解説
細菌の二次代謝産物,特に蛋白毒素の検出による起病菌の迅速推定法
著者: 本田武可1
所属機関: 1大阪大学微生物病研究所細菌血清学
ページ範囲:P.1631 - P.1635
文献購入ページに移動 臨床検査における自動化・迅速化は,生化学検査分野を中心に目覚ましい発展をとげてきているのに対し,微生物検査における迅速化は簡易同定キットなどの普及があるものの,臨床医が利用しうる情報を検査室から入手するまでに,一般には早くて48時間を必要とするのが現状である.したがって,現行の分離・同定法である形態・染色性検査,培養性状検査,生化学的検査などとは別の観点から,細菌同定における迅速化の可能性を追求すべきであろう.
細菌感染症の発症機構を考えた場合,菌の組織侵入性と毒素産生性が主要な病原因子と考えられるが,特に蛋白性毒素研究の最近の進歩に伴い感染・発症における毒素の役割が次々明らかにされ,病原性と密接に関連する蛋白毒素産生能の検出が真の起炎菌の同定のために必須とされる例が増加してきた.例えば,毒素原性大腸菌の場合は,一般的な検査では普通の大腸菌とまったく区別できず,易熱性エンテロトキシン(LT)または耐熱性エンテロトキシン(ST)の産生性を調べることにより初めて急性下痢症の原因菌と同定できるわけで,正確・簡便・迅速な毒素産生能の検査法が必要となってきている.
細菌感染症の発症機構を考えた場合,菌の組織侵入性と毒素産生性が主要な病原因子と考えられるが,特に蛋白性毒素研究の最近の進歩に伴い感染・発症における毒素の役割が次々明らかにされ,病原性と密接に関連する蛋白毒素産生能の検出が真の起炎菌の同定のために必須とされる例が増加してきた.例えば,毒素原性大腸菌の場合は,一般的な検査では普通の大腸菌とまったく区別できず,易熱性エンテロトキシン(LT)または耐熱性エンテロトキシン(ST)の産生性を調べることにより初めて急性下痢症の原因菌と同定できるわけで,正確・簡便・迅速な毒素産生能の検査法が必要となってきている.
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