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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻4号

1985年04月発行

文献概要

研究

高脂血および動脈硬化症の生化学的指標としての血清LCAT活性について

著者: 江尻美智子1 馬庭良子1 比佐哲夫2 古関正意1

所属機関: 1福島県衛生公害研究所保健部 2福島県保健衛生協会

ページ範囲:P.453 - P.456

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 レシチン—コレステロール—アシルトランスフェラーゼ(LCAT)は,レシチンのβ位不飽和脂肪酸残基をアシル基供与源として,コレステロールの3位水酸基にアシル転移を触媒する転移酵素である.本酵素は血漿常在酵素で,高比重リポ蛋白質(HDL)を作用の場とし,HDL3のHDL2への変換を促すとされている1〜3).この過程でのコレステロールの供給源は,超低比重リポ蛋白質(VLDL)がリポ蛋白質—リパーゼの作用により低比重リポ蛋白質(LDL)に変換する過程で生ずるコレステロール,あるいは細胞膜に沈着したコレステロールのHDLへの取り込み4)によるものと考えられており,LCATは血清リポ蛋白質の代謝はもとより,動脈硬化などの病態生化学的観点からも重要な意義を有すると考えられる(図1).
 従来,脂血症や動脈硬化などの臨床生化学的指標として血清総コレステロール(T-Chol)あるいはHDL—コレステロールなどが重要指標の一つとされてきたが,これら指標の意義については再検討を要するとの意見も出され,アポリポ蛋白質を指標とする評価,あるいはHDLの亜分画の分別定量による評価法などが用いられる傾向にある.LCATはこれら血清リポ蛋白質関連諸成分の動態を方向付ける重要因子であり,脂血,動脈硬化などの病態解析の観点からは無視することのできない要素と考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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