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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻5号

1985年05月発行

文献概要

今月の主題 カルシウム 技術解説

血液中カルシウムの測定法

著者: 野本昭三1 下里文子1

所属機関: 1信州大学医療技術短期大学部

ページ範囲:P.511 - P.522

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 血液中のカルシウムを臨床化学の立場で分類すると,血清または血漿中の,総カルシウム(total Ca;T-Ca),イオン形カルシウム(ionized Ca:Ca2+),蛋白質結合形カルシウム(protein bound Ca;P—Ca),透析性カルシウム(ultrafiltratable Caまたはdiffusible Ca:D-Ca),そして赤血球内カルシウム(erythrocyte Ca;E-Ca)に分けることができよう.このうちT-CaとCa2+は,血清無機リン値とも台わせて,主として副甲状腺機能異常や骨の疾患のスクリーニング,診断と経過観察などに欠くことのできない臨床検査項目として,T-Caはすでに古くから利用され,Ca2+は過去10年くらいの間にしだいに利用されるようになってきている.D-Caは,血漿中で有機または無機の酸と結合しているカルシウム(complexed Ca;C-Ca)と,Ca2+を合わせたものに相当し,特殊なケース(クエン酸カルシウムの増加や,HCO3や乳酸などが生理的に大きく変化するような場合の動きを観察する必要が生じた場合など)以外にはあまり測定されていない.E-Caは生体を構成している細胞の膜におけるカルシウムポンプの機能も含めた質的な相違に関心を寄せている人の間では,赤血球が,観測しやすい一つのモデルになる可能性があるために,かなり古くからその測定が試みられている.ただ,その測定は必ずしも容易なものではなく,E-Caについて述べている多数の論文の中には相互にその参照値に大きな隔たりを示している例が多い.
 ここでは臨床検査としてのT-CaとCa2+の測定法について述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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