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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻6号

1985年06月発行

文献概要

今月の主題 黄疸 技術解説

肝生検の組織化学

著者: 市田文弘1 上村朝輝1 野本実1 渡辺俊明1 高橋達1

所属機関: 1新潟大学医学部第3内科学教室

ページ範囲:P.617 - P.623

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 組織化学は組織細胞の構造を破壊せずにそこに存在する化学成分を明らかにする研究であり,一般的には光学顕微鏡レベルで観察しうる方法がとられる.これにより,色素,金属類,脂質,糖質,蛋白質,核酸,各種酵素,ビタミンなどの組織細胞内における同定がなされるようになった.さらに近年,免疫反応を応用した免疫組織化学の分野が発展し,ホルモン,免疫グロブリン,補体,ウイルス抗原,癌組織産生胎児蛋白,組織内浸潤リンパ球の種類その他多くのものの同定が可能となってきた.
 一方肝疾患の確定診断には肝生検による組織所見が最終的な決め手となることが多いことはいうまでもない.通常わが国において頻度の高い肝疾患としては,肝炎ウイルスの感染に起因する急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,肝癌,さらにアルコール多飲による肝疾患,薬物過敏反応による肝障害,脂質代謝障害による脂肪肝などがある.これらを含めた各種肝疾患の肝生検による組織診断のためには,一般にヘマトキシリン—エオジン(HE)染色,鍍銀染色,PAS染色,ジアスターゼ消化後PAS染色などが用いられるが,Azan染色,van Gieson染色,オルセイン染色,鉄染色その他の特殊染色も有用なことが少なくない.ここでは肝生検組織診断上において組織化学が有用ないくつかの間題をとりあげ,関連事項を概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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