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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻6号

1985年06月発行

文献概要

今月の主題 黄疸 技術解説

血中ビリルビン分画法

著者: 山本俊夫1 足立幸彦1 山下正己1 南野達夫1 尾嵜潔1 吉川隆夫1 榎本雅一1 高津尚子1 大場康寛2 中本潤子3 増田詩織3

所属機関: 1近畿大学医学部内科学第二教室 2近畿大学医学部臨床病理学教室 3近畿大学中央臨床検査部

ページ範囲:P.635 - P.641

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 血清ビリルビンは総ビリルビン(TB)を形成する非抱合ビリルビン(Bu),抱合ビリルビン(Bc)をジァゾ反応により間接ビリルビン,直接ビリルビンに分画している.Bcには2グルクロン酸抱合ビリルビン(BDG),1グルクロン酸抱合ビリルビン(BMG)その他の分画があり,血清内でも高速液体クロマトグラフィーにより分画が可能であるが,臨床的にはなお実用的ではない.Bu,Bcのほかにジアゾ試薬に直接反応するアルブミンと強く結合して,血中淳滞時間の短いBu・Bcと異なり,アルブミンとともに代謝され血中に長期間存在するδ(デルタ)ビリルビン(Bδ)があり,最近迅速に測定しうるようになった.直接ビリルビンをBcとBδに分画すると黄疸が悪化しつつある際はBc比率が高く,改善しつつある際はBδ比率が高く,ときにはBcはみられない状態となる.Bδは黄疸の病勢,予後の判断上今後きわめて重要な役割を果たすものと考えられる.尿ビリルビンはBc比率の高いときは血清TB低値でも陽性となるが,Bδ比率が高いと,たとえ血清TBが高値でも出現が少なくなる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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