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研究
スーパーオキシドアニオンを利用したアデノシンデアミナーゼ活性測定法
著者: 岩本信行1 寺沢武1 中山修二1
所属機関: 1(株)藤本臨床検査研究所
ページ範囲:P.705 - P.708
文献購入ページに移動緒言
アデノシンデアミナーゼ(ADAと略す)は核酸代謝において重要な役割をはたす酵素であり,アデノシンをイノシンとアンモニアに変換する.近年,血清ADA活性が肝疾患および癌で上昇することや1),胸水ADA活性が結核性胸膜炎と癌性胸膜炎との鑑別に有用である2)ことなどが報告され注目されている.ADA活性は現在のところ,酵素反応により生成したアンモニア量をインドフェノール反応により定量する方法3,4)が主流であるが,しかしながら,この測定法は酵素反応とインドフェノール反応を分けて行う必要があるため,操作が煩雑で長時間を要し日常検査として必ずしも良い方法とは言えない.最近,プリンヌクレオシドホスフォリラーゼ(PNPと略す)およびキサンチンオキシダーゼ(XODと略す)を共役酵素として用い,生成する過酸化水素(HO2)をパーオキシダーゼの存在下で色素を生成させ比色定量する方法5,6)が開発されたが,この方法は重大な欠点を有している.すなわち,XODを共役させたときに発生するスーパーオキシドアニオン(O2—)により色素が還元され,H2O2量と色素量が比例しない7)点である.そこで私どもは,ADA酵素反応にPNP,XODを共役させたとき,発生するO2—が直接NBTを還元する8)ことに着目し,正確・迅速かつ簡便な新しいADA活性測定法を確立し,従来法との比較を行ったので報告する.
アデノシンデアミナーゼ(ADAと略す)は核酸代謝において重要な役割をはたす酵素であり,アデノシンをイノシンとアンモニアに変換する.近年,血清ADA活性が肝疾患および癌で上昇することや1),胸水ADA活性が結核性胸膜炎と癌性胸膜炎との鑑別に有用である2)ことなどが報告され注目されている.ADA活性は現在のところ,酵素反応により生成したアンモニア量をインドフェノール反応により定量する方法3,4)が主流であるが,しかしながら,この測定法は酵素反応とインドフェノール反応を分けて行う必要があるため,操作が煩雑で長時間を要し日常検査として必ずしも良い方法とは言えない.最近,プリンヌクレオシドホスフォリラーゼ(PNPと略す)およびキサンチンオキシダーゼ(XODと略す)を共役酵素として用い,生成する過酸化水素(HO2)をパーオキシダーゼの存在下で色素を生成させ比色定量する方法5,6)が開発されたが,この方法は重大な欠点を有している.すなわち,XODを共役させたときに発生するスーパーオキシドアニオン(O2—)により色素が還元され,H2O2量と色素量が比例しない7)点である.そこで私どもは,ADA酵素反応にPNP,XODを共役させたとき,発生するO2—が直接NBTを還元する8)ことに着目し,正確・迅速かつ簡便な新しいADA活性測定法を確立し,従来法との比較を行ったので報告する.
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