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実験動物の自然感染の見分け方
著者: 田嶋嘉雄1 鈴木潔1 田中利男2
所属機関: 1東京大学伝染病研究所獣疫研究部 2国立予防衛生研究所獣疫部
ページ範囲:P.491 - P.497
文献購入ページに移動生物学研究の基本であり,同時に医学の最後のきめてになる実験動物は従来あまりに無関心になげだされていた。化学天秤だとか,電子顕微鏡とか超遠心器とか,物理化学的器材についてはひどく先端的であるのに,それらで測定計量された材料が動物実験の場にうつされるとなると,素性も健康もわからない動物—それは古道具屋においてあるさびついた天秤に相当する—がつかわれている,というアンバランスはできるだけはやく解消されなければならない。このことは誰もが容易に到達する理解の筈である。事実,最近数年間における世界各国の実験動物に関する動きはめざましいもので,実験動物問題は国家的な立場で全般的にとりあげなければとても処理できるものではないということから,各国はそれぞれきそつて国立の実験動物センターを設立し,国際的にはユネスコに実験動物国際委員会が設けられた。そのような各国の実状とくらべて日本はまことに貧弱であつて,有志の団体である日本実験動物研究会がある以外には個々に研究所ないしは個人が動いている程度でしかない。この状況では医学,生物学の研究面ではやがて各国からとり残されそうな気がする。今ここにとりあげるテーマ,自然感染の問題も,もしそういうセンターがあつて詳細に検討され,対策が一般に行きわたるようになれば,研究者はそういうことに特別に深い関心をもたなくても安心して使える動物を入手できるわけである。
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