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今月の主題 病院内感染防止のための細菌検査 カラーグラフ
病院内感染防止のための細菌検査
著者: 三輪谷俊夫1
所属機関: 1大阪大学微生物病研究所
ページ範囲:P.1054 - P.1056
文献購入ページに移動 病院で治療を受けている患者が,原疾患とは別に病院内で新たに感染を受けて発病することを「病院内感染(nosocomial infection)」と言う.病院内環境はほかの施設や集団よりも感染症が多発する避け難い要因がある.患者は一般健康人よりは感染症に対してはるかに抵抗力が低い感受性体であるか,はるかに濃厚な感染源となる場合が多い.このような濃厚な感染源と抵抗力の弱い感受性体が密に混在している病院内では感染経路が複雑多岐となり,少しでも注意を怠れば,普通の感染症はもちろんのこと,一般社会では起こりにくい平素無害菌による日和見感染症も多発することになる.もしも病院内感染が発生した場合には,患者の苦しみを増すだけではなく,患者とその家族の肉体的・経済的負担を増大するため,医事紛争や医事訴訟に発展する事例が多い.医療者側の不注意や無知によって病院内感染が起こったときには,当然のことながら医療者側の敗訴になってしまう.たとえ医事紛争や訴訟を考えなくても,患者の負担を増大させる病院内感染の発生防止に医療従事者はつねに細心の注意を払うべきである.
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