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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻10号

1986年10月発行

文献概要

今月の主題 病院内感染防止のための細菌検査 技術解説

環境水からのレジオネラ属菌の分離法

著者: 池戸正成1

所属機関: 1岐阜大学医学部微生物学教室

ページ範囲:P.1081 - P.1085

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 1976年の夏,米国のフィラデルフィアで原因不明の肺炎の集団発生があり,Center for DiseaseControl(CDC)を中心に精力的な原因究明作業が進められた.その結果,今まで知られていなかったGram陰性桿菌がその原因菌であることがわかり,この菌は新属Legionella,新種Legionella pneumophilaとして命名記載され,本菌による疾患はレジオネラ症(在郷軍人病)という新しい疾患として記載された.その後,この集団発生以前に発生した原因不明の肺炎や,原因不明の熱性疾患(ポンティアック熱)もレジオラ症であったことが判明した.その当時,L. pneumophilaは非常に危険度の高い菌として扱われていたが,その後の研究により自然界に広く生息していることが明らかになり,淡水中のある種の藻類やその他の原生動物例えばアメーバやテトラヒメナなどと共生関係にあることも判明し,淡水の常在菌叢を構成している菌であることが示唆されるようになった.L. pneumophila以外の菌種も,自然環境や冷却塔水などの社会環境から検出されることが多く,したがって冷却塔を中心に社会環境中のレジオネラ属菌の分布を知ることは,本菌による感染症の発生の予防につながると思われる.ここでは,冷却塔水を対象に,選択培地を用いた本菌の分離法を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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