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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻10号

1986年10月発行

文献概要

資料

ATLA抗体検出のための新しい凝集反応試薬の評価

著者: 小林進1 吉田勉1 山本きよみ2 藤田一之3 渡辺和彦4 山本直樹1

所属機関: 1山口大学医学部寄生体 2山口大学医療短期大学部 3小倉記念病院 4門司渡辺クリニック

ページ範囲:P.1143 - P.1146

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はじめに
 成人T細胞白血病(ATL)は病因論的に,C型レトロウイルス(ATLV)と密接な関連を持つことが明らかになった最初のヒト悪性腫瘍である1).このATLVに対する抗体(ATLA抗体)を保有する者は,同時にATLVのキャリアであることが証明されている2).ATLVの感染経路としては,夫婦間の夫から妻への水平感染,母親から子供への垂直感染3,4),さらに最近,輸血による水平感染が有力視されている5).特に頻回,大量輸血が行われた場合,高率にATLA抗体の陽転化が認められている6).そのため,輸血によるATLVの感染を防ぐ手段として,供血者のATLA抗体をスクリーニングする必要性が生じている.
 ATLA抗体の検出法としては,ATLV産生細胞を抗原とする間接蛍光抗体法1)(IF)が唯一の確かな方法として利用されている.しかし,ATLV産生細胞を最適条件で維持,管理することは一般の研究室では困難である.また,供血者血清のように,一度に大量の検体について,スクリーニングすることは非常に困難である.よって,このような大量検体のスクリーニングを目的とした,ATLA抗体の検査キットの開発が期待されていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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