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文献概要
シリーズ・生体蛋白質の検査法・2
蛋白質定量法の種類とその特徴
著者: 副島正美1
所属機関: 1茨城大学農学部農芸化学科
ページ範囲:P.170 - P.174
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実験を行うに当たって,どの定量法を選択するかを決めるためには,最初に「蛋白質の定量法」の概念を十分検討し整理しておく必要がある.一口に蛋白質と言っても,全蛋白質を一括して定量しようとするのか,特定の蛋白質成分をほかの蛋白質と区別して定量しようとするのかによって,方法が異なる場合が多い.後者の場合には,目的の蛋白質の際だった特色—例えば硬蛋白質の場合の溶解性,複合蛋白質の場合の非蛋白質成分の特殊な反応性,あるいは生物活性を有する場合はその活性など—を定量法として採用できる可能性が大きいが,特色がない場合には適当な方法で分別・精製した後に定量を行う必要があり,たいへん複雑な操作を伴うことになる.前者の場合には蛋白質の多様性がもっとも大きな問題であり,結論から言えば厳密な意味での定量法と呼べる方法はないことを認識しておかねばならない.
言うまでもなく2,3の例外を除いて,蛋白質は20種類のL—アミノ酸がペプチド結合(プロリンのN側は別だが)を通して種々な組成および配列によって,数万〜数百万の巨大分子を形成している.その窒素含量は16%と言われているが,実際は塩基性蛋白質のピストン・プロタミンを別としても15〜19%の変動がある.分子の形状は球状,繊維状およびそれらの中間の楕円状に大別され,その長軸は数nm〜100nmに分散しており,その溶液はコロイド分散系に属する.単純蛋白質にかぎっても,それらの物理的性質,特に溶解性は起原・種類によって大きく異なっている.表1を参照していただきたい.コラーゲン・ケラチンなどの硬蛋白質ではほとんどの溶媒に不溶である.また動植物体にもっとも広く分布しているアルブミン・グロブリンなどは不安定で,ドラスティックな操作により変性されて沈殿してしまう場合が多い.核酸・糖質・脂質・リン酸・金属および色素などをそれぞれの非蛋白質区分として結合している複合蛋白質になると,理化学的性質はさらに多様化することは言うまでもない.
実験を行うに当たって,どの定量法を選択するかを決めるためには,最初に「蛋白質の定量法」の概念を十分検討し整理しておく必要がある.一口に蛋白質と言っても,全蛋白質を一括して定量しようとするのか,特定の蛋白質成分をほかの蛋白質と区別して定量しようとするのかによって,方法が異なる場合が多い.後者の場合には,目的の蛋白質の際だった特色—例えば硬蛋白質の場合の溶解性,複合蛋白質の場合の非蛋白質成分の特殊な反応性,あるいは生物活性を有する場合はその活性など—を定量法として採用できる可能性が大きいが,特色がない場合には適当な方法で分別・精製した後に定量を行う必要があり,たいへん複雑な操作を伴うことになる.前者の場合には蛋白質の多様性がもっとも大きな問題であり,結論から言えば厳密な意味での定量法と呼べる方法はないことを認識しておかねばならない.
言うまでもなく2,3の例外を除いて,蛋白質は20種類のL—アミノ酸がペプチド結合(プロリンのN側は別だが)を通して種々な組成および配列によって,数万〜数百万の巨大分子を形成している.その窒素含量は16%と言われているが,実際は塩基性蛋白質のピストン・プロタミンを別としても15〜19%の変動がある.分子の形状は球状,繊維状およびそれらの中間の楕円状に大別され,その長軸は数nm〜100nmに分散しており,その溶液はコロイド分散系に属する.単純蛋白質にかぎっても,それらの物理的性質,特に溶解性は起原・種類によって大きく異なっている.表1を参照していただきたい.コラーゲン・ケラチンなどの硬蛋白質ではほとんどの溶媒に不溶である.また動植物体にもっとも広く分布しているアルブミン・グロブリンなどは不安定で,ドラスティックな操作により変性されて沈殿してしまう場合が多い.核酸・糖質・脂質・リン酸・金属および色素などをそれぞれの非蛋白質区分として結合している複合蛋白質になると,理化学的性質はさらに多様化することは言うまでもない.
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