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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻6号

1986年06月発行

文献概要

今月の主題 定量的細菌検査とその臨床的意義 技術解説

尿の定量的細菌検査法

著者: 村中幸二1 河田幸道1

所属機関: 1福井医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.587 - P.592

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 尿路感染症の診断に際して尿中細菌定量培養法はもっとも重要な検査法の一つである.しかし,尿中細菌数は採尿方法や尿の保存状態によって異なってくるため,尿の採取から分離に至る過程が正しく行われてはじめて診断的価値を発揮するものであることを忘れてはならない.尿の定量培養法としては,平板混釈法または平板塗布法が定量性の高い検査法として用いられているが,これらの方法は器材の準備や検査手技が煩雑であるため,最近は簡易定量培養法が普及している.その代表的な方法はディップスライド法であるが,低菌数細菌尿における定量性に関しては,まだ問題点が多い.また細菌検査の自動化,迅速化を目的とした機器の開発がなされ,普及しはじめている.これらは散乱光や光透過法,生物発光を測定原理とするもので,菌数の測定も行え,今後,尿路感染症の診断や治療に大きく貢献すると考えられる.
 尿路感染症の原因となった細菌を尿中から分離することは,尿路感染症の診断上もっとも重要であるが,採尿の過程において真の原因菌以外の細菌が混入する可能性があるため,たんに尿から細菌を分離しただけでは非特異性尿路感染症の診断を下すことはできず,原因菌の決定には定量培養法が不可欠である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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