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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻9号

1986年09月発行

文献概要

シリーズ・微量元素の検出法・3

金属キレートによる微量元素分析

著者: 内海昭1

所属機関: 1通商産業省工業技術院化学技術研究所分析化学部

ページ範囲:P.1011 - P.1015

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1.はじめに
 ナトリウム(Na),カリウム(K),カルシウム(Ca),鉄(Fe)などはスポーツドリンク,健康食品,栄養剤,金属薬剤としてよく知られている無機質であるが,同じ無機質でも,亜鉛(Zn),銅(Cu),セレン(Se),ヒ素(As)などと言うと,何か物騒で,まるで栄養とは関係のない元素のように思われていたが実は鉄と同じように,生体にはきわめて微量しか存在しないにもかかわらず,体の発育,生命の維持,機能発現に欠かすことができない必須元素であることが証明されたのである.しかし,亜鉛も銅も食品に広く存在するためその欠乏症が起こるとは思われていなかった.ところが最近,ミネラル無添加の粉ミルク調乳児や長期入院患者(静脈栄養)などで欠乏症が起こるという報告が相次ぎ,今日では粉ミルクにCu 0.37mg, Zn 2.9mg程度の添加が義務づけられるに至った.また,これらのミネラルはビタミンと同様に生体の代謝を円滑にする働きを持つことが知られ,新しい栄養剤の開発あるいは疾病の治療効果などの観点から注目されるようになってきた.
 このように生体内での微量無機元素の機能や役割に関する研究は,微量分析法の進歩とともに発展してきたと言っても過言ではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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