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文献詳細

雑誌文献

臨床検査31巻11号

1987年10月発行

文献概要

こぼれ話

生検の役割

著者: 田原榮一1

所属機関: 1広島大学・病理学

ページ範囲:P.1182 - P.1182

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 Necropsy(屍検)に対立するBiopsy(生検)の言葉の由来は,ギリシャ語であって,Bio(life,living)とops([eye]sight)とから構成されたものである.
 生検は,生体の細胞組織や臓器から材料を採取し,病理組織学的,免疫組織化学的,電顕的,時には生化学的,内分泌学的に検索して,病気の本体を診断することにあり,また,予後あるいは治療判定にも利用される.したがって,臨床的に,理学的,放射線学的,血清学的,医工学的に得られた病気の虚像あるいは機能相は,生検によって,その実像あるいは形態像を実証することができるのである.方法論的には,穿刺針を用いてのNeedle biopsyやAspiration biopsy,外科的あるいは内視鏡的に得られた小切片についてのSurgical biopsyあるいはEndoscopic biopsyなどがある.前者では,主に肝疾患(肝炎,肝硬変症,脂肪肝,肝癌,胆汁うっ滞),腎疾患(腎炎,ネフローゼ疾患群),造血系疾患および関節疾患などの鑑別診断のために行われ,後者では,上部気道および肺,消化管,肝,膀胱,前立腺,子宮,乳腺,甲状腺,皮膚,リンパ節などの炎症性あるいは腫瘍性病変の鑑別診断や癌の確証,アミロイドなどの変性疾患の証明などのために行われてきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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