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文献詳細

雑誌文献

臨床検査31巻11号

1987年10月発行

文献概要

特集 生検の進歩 I 臓器別生検 i 組織診

12 乳腺

著者: 坂元吾偉1

所属機関: 1(財)癌研究会癌研究所病理部

ページ範囲:P.1242 - P.1247

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はじめに
 最近わが国においては乳腺疾患および乳腺生検に対する関心が高まってきているが,その背景には次のような状況が見られる.第一は,わが国における急激な乳癌頻度の上昇である.1985年の女性の部位別癌罹患率では乳癌は胃癌に次いで第2位であり,さらに10年以内の近い将来には乳癌は胃癌を抜いて女性の癌の第1位の罹患率を示すとの予測がなされていることから1),今後われわれが乳腺生検を扱う機会はますます多くなるものと思われる.次に,臨床的にはマンモグラフィーや超音波検査の画像診断の発達がある.画像診断の発達は,二つの点で乳腺生検に影響を及ぼしている.その一つは,触診上は腫瘤を触れない乳癌(To乳癌)の発見の指標を得たことで,組織学的確定診断のために乳腺の楔状切除生検が盛んに行われるようになったことである.もう一つは,画像診断の正診率の向上に伴って臨床的に乳癌を確診する例が増えたことによって,外来生検を省略して術中凍結迅速組織診断を行う機会が増えてきたことである.
 そこで本項では,特に模状切除生検と凍結迅速組織診断により多くの比重を置いて,乳腺生検の技術と解釈を述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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