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文献詳細

雑誌文献

臨床検査31巻11号

1987年10月発行

文献概要

特集 生検の進歩 II 生検に応用できる技術

3 フローサイトメトリー

著者: 高橋学1 佐々木功典1 村上知之1

所属機関: 1山口大学医学部第二病理学教室

ページ範囲:P.1363 - P.1368

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はじめに
 多様性に富んだ細胞集団の特徴を正確に把握するには,多数の細胞(数千〜数万個)の測定が必要である.個々の細胞の測定が正確であろうとも,数百個の細胞を測定して得られる細胞分布は,徳川時代の日本地図のようなものである.ランドサットの時代には通用しない.DNAヒストグラムにおいて,棒グラフの幅が広くては,異常なDNA量をもつ細胞も正常の細胞と区別できないし,分割を細かくすると,一つの棒グラフに属する細胞数が減り,ヒストグラムは安定しない.測定精度と測定速度を同時に飛躍的に向上させるには,フローサイトメトリー(FCM)の技術を活用するのがよい.
 FCMは,蛍光色素で染めた細胞を高速度で流し,細い光束を当てて,各個細胞内の物質を測定する技術である.毎秒数千個(高精度の測定には毎秒千個以下)の細胞を測定して電子計算機に入力するとともに,ヒストグラムを描き,あるいは複数個のパラメーター(例えばDNA量とRNA量)を測定し,その測定値(例えばDNA量とRNA量の測定値)に基づいて細胞を二次元座標上にプロットし,細胞集団の形態をリアルタイムで表示することも可能とした.その意味において,フローサイトメータ9は<細胞データの電算機入力装置>であり,<細胞集団顕微鏡>である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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