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文献詳細

雑誌文献

臨床検査31巻12号

1987年11月発行

文献概要

今月の主題 透析と血漿交換 総説

人工腎臓の現状と将来

著者: 前田貞亮1

所属機関: 1関東労災病院

ページ範囲:P.1441 - P.1451

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はじめに一概念と歴史
 「尿毒症」30年前までは,それは死の宣告に等しい言葉であったが,今日では,人工腎臓をはじめとする種々の治療法,いわゆる血液浄化法によって,きわめてよく改善しうる一つの臨床症候群としてとらえられるようになった.
 腎機能低下→腎機能不全→腎不全→尿毒症という一連の病名ないし症候名は,病態生理としての腎機能低下ないし腎不全と,臨床症状を主とする尿毒症とに区別されるべきである.腎不全が高度になり,貧血,アシドーシス,心不全,噯気,嘔吐,頭痛,不眠などの中毒性臨床症状が出現したのが尿毒症であるから,確かに腎不全のさらに進んだ状態ではあるが,疾患としての腎不全は,形態学的および病態生理学的状態は変わらないけれども,血液浄化法による治療を行うことで臨床症状は消失し,一般健康人の生活状態とほぼ同じ程度のレベルに回復する.このことから,腎不全と尿毒症とは別の概念と考えるほうが正しい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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