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今月の主題 透析と血漿交換 総説
血漿交換機器の現状と将来
著者: 広瀬脩二1 近藤威史2 井上昇2
所属機関: 1国立王子病院外科 2国立王子病院内科
ページ範囲:P.1453 - P.1462
文献購入ページに移動血漿交換療法は,患者の血漿を分離したうえでそれを廃棄して,血漿中の病因関連物質を除去すると同時に,血漿の代わりに置換液(補充液)を適切に投与する治療法である.1970年代の後半から体外循環中に自動的に大量の血漿を分離する技術が実用化して以来,従来の薬物療法ではコントロールできなかった病態,特に難治性の代謝および免疫異常の治療に用いられ広く普及するようになった.新しい血漿分離技術を用いた血漿交換療法による治療成功例が次々と報告されるとともに,いくつかの問題点が提起された.
第一は,患者の血漿をすべて廃棄して置換液と交換する治療法では,置換液として通常用いられる血液製剤(新鮮凍結血漿,アルブミンなど)の消費が多くウイルス感染の危険性があること,血液製剤の需給のバランスを乱すこと,さらには治療コストの増大を招くことであった.これらの問題を解決するために,病因物質の選択的あるいは特異的除去を目的とした血液浄化技術が登場した.
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