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今月の主題 ドライケミストリー 検査と疾患—その動と考え方−129
糖尿病
著者: 川合厚生1 福澤尚子2
所属機関: 1朝日生命糖尿病研究所 2朝日生命糖尿病研究所検査科
ページ範囲:P.1573 - P.1578
文献購入ページに移動糖尿病とは,インスリンの作用不足によって惹き起こされる代謝疾患である.その成因は単一ではない.1980年,WHO専門委員会1)は,糖尿病をその成因から3種類に分類した(表1).すなわち,その第1は,インスリン依存性糖尿病(IDDM)であり,第2は,非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)である.そして,第3にその他の型の糖尿病が挙げられている.この内,日常臨床上,特に重要なIDDMとNIDDMの特徴を比較すると,IDDMの一部は,特定の型のHLAと関連があり,また種々の程度の血清および細胞由来の自己免疫性が認められる.発症時にウイルス感染が病因として認められることがあり,β細胞からのインスリン分泌は欠如する.一方,わが国では,糖尿病の90%以上を占めるNIDDMは,遺伝的素因を背景として,過食,運動不足および精神的ストレスといった後天的,習慣的原因が重なって発症してくる型である.前者は,生命維持のために,インスリン治療が必須であるが,後者の治療の基本は,食事および運動療法であり,必要に応じて補助手段として,血糖降下剤またはインスリンを使用する.
治療が不十分でコントロール不良状態に陥った時併発してくる合併症は,両者に差がない.すなわち,急性と慢性の合併症が存在する.
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