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文献詳細

雑誌文献

臨床検査31巻2号

1987年02月発行

文献概要

研究

保存血清の補体成分C3の分解とその臨床的意義

著者: 上原良雄1 赤沼益子1 平野孝明1 中沢宏明2 山崎健二3 山田三枝子4

所属機関: 1長野県須坂病院検査科 2松代病院検査科 3ヘキストジャパン株式会社 4長野赤十字病院検査科

ページ範囲:P.203 - P.206

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 血清補体価,特にC3,C4の血中レベルの測定は,急性糸球体腎炎(AGN),膜性増殖性糸球体腎炎(MP—GN),全身性エリテマトーデス(SLE),遺伝性血管神経性浮腫(HANE)などの病態把握に有用である.ところが,採血分離後の血清の保存のいかんによっては,採血直後のC3値に比し,1週間後で,127±13%(x±SD, n=30)もの相対的高値となった.このC3値の上昇はC3の部分的分解(B1C→B1A分解)に起因していることが明らかとなった.C3測定に用いられる多くの抗血清は,抗C3C抗体として市販されているものであり,C3CのみならずC3+C3bとも結合した.しかし,おのおのの分画に比し,より強く結合するため沈降量が増加し,その結果,血清保存中のC3部分的分解を反映したC3値の相対的高値が観察された.この部分的分解がなぜ起こるのかという点に関しては,必ずしも,明らかにされていない.しかし,複数の活性化因子が存在することは明らかである.免疫複合体(SLO—抗SLO複合体)を保存血清に添加したところ,その添加量に比例したB1C→B1A部分的分解が観察されたところから,免疫複合体もその因子の一つであると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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