研究
3種のXIII因子測定法の比較検討
著者:
秋山淑子1
佐藤美知子1
中原一彦1
山中學2
所属機関:
1東京大学医学部附属病院中央検査部
2横須賀共済病院
ページ範囲:P.893 - P.896
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血漿XIII因子は血液凝固の最終段階で働く分子量320 000の糖蛋白で2個のa鎖と2個のb鎖とからなる4量体(a2b2)として存在しトロンビンにより活性化され中間体(a'2b'2)となり,Ca2+の存在下にa'2とb'2に解離する.このa'2がトランスグルタミナーゼ活性を持つXIIIaであり,欠損症では創傷治癒不全,深部出血などの出血症状を呈し,後天的には,DIC,重症肝障害,悪性腫瘍,大手術後などで低下する.XIII因子の低下した症例については近年血漿XIII因子製剤による治療1〜3)が行われるようになったが,その保険診療における適応条件としてXIII因子量が正常の70%以下の症例に限られている4).XIII因子の測定法には種々の方法5〜6)があり,最近ではラテックス法7)が用いられるようになってXIII因子の測定はいっそう簡便になった.しかし測定方法によって成績の解離がみられることが多く,われわれは正常値の設定を目的として各種測定法のうち比較的簡便な抗原活性を測定するラテックス法と中和抗体法8)および酵素活性を測定するモノダンシルカダベリン(MDC)取り込みゲル濾過法9)を選んで健常成人,各種疾患患者血漿について測定し,各種測定法による測定値の比較を行い,測定値の差異の原因を明かにした.