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文献詳細

雑誌文献

臨床検査32巻11号

1988年10月発行

文献概要

特集 アイソザイム検査 カラー図

プロテインキナーゼCアイソザイム

著者: 田中千賀子1 平田みどり1

所属機関: 1神戸大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.1184 - P.1185

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 プロテインキナーゼC(PKC)は,細胞膜のイノシトールリン脂質代謝回転と共役してホルモンや神経伝達物質などのシグナルを細胞内に伝達するセカンドメッセンジャー系に重要な役割を持つことが明らかになっている1).PKCは生体内に広く分布し,脳内に特に活性が高い.また,PKCは従来単一の物質と考えられていたが,近年の遺伝子クローニング法によりα,βl,βll,γ,およびδ,ε,ζの,少なくとも7種のサブタイプの存在が明らかにされた.蛋白レベルからも,type l,type ll,type lllの三つに分けられ,type lは上記αに,type llはβl,βllに,type lllはγにそれぞれ相当する.なお,βlとβllは単一の遺伝子からalternative splicingにより生じるものである.
 γ type PKCは海馬,大脳皮質,小脳皮質,扁桃体,脊髄後角(substantia geratinosa)などに多い,特に小脳Purkinje細胞には細胞体,軸索,神経終末の細胞質にγ type PKCの存在が認められる.βlは三角中隔核,橋核,小脳皮質顆粒層に多く,橋核の神経細胞においては細胞膜を裏打ちする細胞質辺縁部のみにあり,細胞膜を介した物質輸送機構や情報伝達機構にかかわる可能性がある.βⅡは海馬のCA1領域や黒質に多く存在する.海馬はlong termpotentiation(LTP)と関係が深く,CA1領域では,γ,βⅡの両方が,ほかの部位ではγのみがLTPに関与している可能性がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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