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文献詳細

雑誌文献

臨床検査32巻11号

1988年10月発行

文献概要

特集 アイソザイム検査 II.各論

27 モノアミンオキシダーゼ

著者: 中野博1 山本泰朗2

所属機関: 1奈良県立医科大学病態検査医学教室 2高知医科大学第一内科

ページ範囲:P.1394 - P.1398

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モノアミンオキシダーゼの性状と由来
 モノアミンオキシダーゼ(MAO)は,いろいろの生理活性をもつアミン類の酸化的脱アミノ化を触媒する酵素の総称である(表1).モノアミンオキシダーゼ(MAO)には,ミトコンドリアに存在してフラビン(flavin,FAD)を含有するMAO(EC 1.4.3.4)と,主として血清(漿)に存在してベンジルアミン(benzylamine)を基質とし銅を含有しピリドキサールリン酸(pyridoxal phosphate)を補酵素とするMAO(EC 1.4.3.6)がある.ミトコンドリア由来のフラビン蛋白であるMAOはさらに,その阻害剤に対する態度を異にする2群,MAO-A,MAO-Bに区別できる.MAO-Aはセロトニン,ノルエピネフリンなどを基質にしてクロージリン(clorgyline)により容易に阻害されるのに反し,MAO-Bはベンジルアミン,β-フェニルエチルアミンなどを基質としてデプレニール(deprenyl),パージリン(pargyline)で阻害を受ける.しかしチラミン,トリプタミンなどは両者に共通の基質である.MAO-A,MAO-Bは肝,脳,心,腎などに多く存在するが,肺ではMAO-Aは多い反面Bは少なく,反対に腸管ではMAO-Bは多い反面Aは少ない.ヒトの末梢血中には血清MAOが存在し,このほかに血小板,リンパ球中にMAO-Bが存在する.
 このように血清中のMAOは,生体内アミン酸化酵素の中にあって特異な性質をもつアミン酸化酵素であり,神経伝達アミン,食餌性外因性アミンの分解に作用していると考えられるが,その役割については不明である.血清MAOは基質としてベンジルアミンとの反応性が高いことから,MAO-A,MAO-Bと区別してベンジルアミンオキシダーゼ(benzylamineoxidase:BAO)と呼ばれたり,セミカルバジド(semicarbazide)により特異的に阻害されるのでsemicarbazide-sensitive amine oxidase(SSAO)とも呼ばれたりする1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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