icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査32巻11号

1988年10月発行

文献概要

わだい

慢性肉芽腫症の食細胞酵素異常—O2生成系の病態生化学

著者: 田中寅彦1 石村巽1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部医化学教室

ページ範囲:P.1408 - P.1408

文献購入ページに移動
 好中球,マクロファージなどの食細胞は,細菌などの異物の貧食時に多量のスーパーオキシドラジカル(O2)を生成する.このO2や,さらに派生して生じる種々の活性酸素種(過酸化水素(H2O2),ヒドロキシラジカル(OH・),一重項酸素(1O2),次亜塩素酸イオン(OC1)など)は,食細胞の殺菌作用に中心的な役割を果たしている.このO2生成活性を遺伝的に欠損した疾患が慢性肉芽腫症(chronic granulomatous dis—ease;CGD)である.患者の食細胞は,カタラーゼ陽性でH2O2非産生性の細菌や真菌に対する殺菌能が低く,患者は乳児期より重篤な感染症を繰り返す.本稿ではCGDの病因であるO2生成酵素系の異常について簡単に述べる.
 O2は食細胞の細胞膜に存在するNADPHオキシダーゼと呼ばれる酵素系により生成される.この酵素系はふだん静止状態にあるが,食作用時や可溶性刺激剤(ホルボールエステル,脂肪酸など)の投与により活性化され,次に示す反応を触媒しO2を生成する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?