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文献詳細

雑誌文献

臨床検査32巻11号

1988年10月発行

文献概要

特集 アイソザイム検査 II.各論

32 ピルビン酸キナーゼ

著者: 谷憲三朗1

所属機関: 1東京大学医科学研究所内科

ページ範囲:P.1422 - P.1429

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アイソザイムの種類と特徴
 ピルビン酸キナーゼ(PK)は解糖系の最終段階に位置し,ホスホエノールピルビン酸,アデノシンニリン酸(ADP)を基質とし,Mg2+,Kの存在下にピルビン酸およびアデノシン三リン酸(ATP)を産生する反応を不可逆的に触媒する酵素である.種々の組織において,ヘキソキナーゼ,ホスホフルクトキナーゼとともにこの段階は解糖系の律速段階であり,代謝調節に関与していると考えられる.PKには現在までに,L,R,M1およびM2型の4種類のアイソザイムが同定されており,おのおの同一サブユニットの四量体から成っている.これらは分子量,酵素学的諸性質および免疫学的性質により区別が可能であり(表1),おのおのの精製に関してもすでに報告がなされている1〜3)
 PKは哺乳類のほとんどすべての組織に存在するが,その存在様式は組織により大きな差異がある.組織内の分布は非常に特異性が高く,各組織に特徴ある糖代謝の調節に関与しているものと考えられる.L型は肝臓の主要型であり,腎臓と小腸にも少量であるが存在する.R型は赤血球に存在し,M1型は骨格筋および脳に存在する.M2型は胎児期初期に存在する唯一の分子種で,未分化な癌細胞でも主要型なので,PKのプロトタイプと考えられる.またM2型は成体の多くの組織にも存在している.さて,これらのうちでR型PKの異常(R型とL型は同一遺伝子PK-LR遺伝子産物であるため,L型PKの異常も伴っている)は溶血性貧血の病因であり,臨床的にも重要である1,3,4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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