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わだい
癌細胞が産生するアルカリホスファターゼ
著者: 飯野四郎1
所属機関: 1東京大学医学部第一内科
ページ範囲:P.1429 - P.1429
文献購入ページに移動 1967年,Fishmanによって癌性のアルカリホスファターゼ(ALP)が報告され,腫瘍マーカーの一つとして注目された.このALPは当時としては免疫学的にも,酵素学的にも胎盤のALPと区別できないものであり,Regan isoenzymeと命名された1).次いで1969年にはWarnockによって肝細胞癌が産生するアイソザイムが発見され,variant ALPと名づけられた2).この二つが腫瘍マーカーとなるALPアイソザイムである.
その後,腫瘍組織に含まれているALPを分析すると,上記の腫瘍に関連したアイソザイムはかなり高頻度に存在することがわかった3)が,血中で調べると,その出現頻度は非常に低く,一般的な意味での腫瘍マーカーとしては使用できないことが明らかとなっている.Variant ALPに関しては進行した肝細胞癌例のみでみると腫瘍マーカーとなりうるものの,最近のように画像診断法が進歩し,早期に発見されるようになると出現頻度は数%に満たない.胎盤性ALPは,全悪性腫瘍でみれば1%以下である.ただ,セミノーマ,卵巣癌の例ではやや出現頻度が高いように思われる4).癌細胞に存在しても血中へ放出されないところに,腫瘍マーカーとして広く使えない点がある.
その後,腫瘍組織に含まれているALPを分析すると,上記の腫瘍に関連したアイソザイムはかなり高頻度に存在することがわかった3)が,血中で調べると,その出現頻度は非常に低く,一般的な意味での腫瘍マーカーとしては使用できないことが明らかとなっている.Variant ALPに関しては進行した肝細胞癌例のみでみると腫瘍マーカーとなりうるものの,最近のように画像診断法が進歩し,早期に発見されるようになると出現頻度は数%に満たない.胎盤性ALPは,全悪性腫瘍でみれば1%以下である.ただ,セミノーマ,卵巣癌の例ではやや出現頻度が高いように思われる4).癌細胞に存在しても血中へ放出されないところに,腫瘍マーカーとして広く使えない点がある.
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