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今月の主題 血中薬物濃度測定法の進歩 総説
血中薬物濃度測定について
著者: 中恵一1
所属機関: 1大阪市立大学医学部臨床検査医学教室
ページ範囲:P.1446 - P.1452
文献購入ページに移動 薬物療法を有効に,かつ高い質で実施するためには,従来の各種計量的な検査に加え,直接血中での薬物濃度の測定を行うべき薬剤が多くある.これは用いる薬物が,製剤法,投与法,患者の個人差などによって作用部位での有効濃度が大きく変化する場合に特に強調される.血中薬物濃度測定の応用は二段階の過程で行われる.まず,同一母集団に対して多くのデータを収集し,これを統計処理することによって薬物の有効血中濃度の確保に必要な薬物動力学的情報を得る.次に,個々の患者に対して,先に得られた情報に基づき有効な投与量と投与法を推察し,実行してこれを管理するための測定を繰り返し行う.
薬物の血中濃度測定は,現在高速液体クロマトグラフィー,ガスクロマトグラフィー,免疫化学的測定法(ラジオイムノアッセイ,エンザイムイムノアッセイ,蛍光イムノアッセイなど)を主体として実施されている.クロマトグラフィーは分離と定量を逐次的に行うことから,目的物質の測定に付随してしばしば代謝物質の測定も可能である.免疫化学的な方法は操作が簡略化でき,共存物質の存在下で高い特異性を発揮する.測定の実施に際しては,採血法,検体容器,前処理など測定前に由来する多くの誤差要因があり,統計的なデータとしての薬物動力学的情報を利用するうえで測定の標準化が必要である.
薬物の血中濃度測定は,現在高速液体クロマトグラフィー,ガスクロマトグラフィー,免疫化学的測定法(ラジオイムノアッセイ,エンザイムイムノアッセイ,蛍光イムノアッセイなど)を主体として実施されている.クロマトグラフィーは分離と定量を逐次的に行うことから,目的物質の測定に付随してしばしば代謝物質の測定も可能である.免疫化学的な方法は操作が簡略化でき,共存物質の存在下で高い特異性を発揮する.測定の実施に際しては,採血法,検体容器,前処理など測定前に由来する多くの誤差要因があり,統計的なデータとしての薬物動力学的情報を利用するうえで測定の標準化が必要である.
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