文献詳細
文献概要
今月の主題 心電図の最前線 巻頭言
心電図の歴史と将来の夢
著者: 小沢友紀雄1
所属機関: 1日本大学医学部第二内科学教室
ページ範囲:P.475 - P.476
文献購入ページに移動 動物の心筋が心拍とともに電気を発生するのが発見されたのは,1843年イタリアのMatteucciによる.また,動物の心活動電位の記録は1876年フランスのMarceyがカエルで,そして1887年,イギリスのWallerが人間の心活動電位を初めて毛細管電流計で記録を行った.絃線電流計は1897年に発明されたが,1903年にオランダのEinthovenにより写真撮影できるように改造され,1910年に心電計が完成され市販されるようになった.心電図波形のP,Q,R,S,Tの名命は1895年のことである.本邦で最初に心電計が使用されたのは1911年のことと言われている.当時の心電計は一定の場所に設置され,大型で,容易に移動できるようなものではなく,記録にも非常に時間がかかったという.臨床的に活用できるようになったのは,1929年Siemens&Halske製可搬型真空管式心電計が市販されるようになってからである.その後12誘導心電図が出現し,広く使用されるようになって久しいが,その間の心電計の改良と発展は目覚ましく,写真の現像式から直記式へ,また軽量小型化され,過去には特殊な検査法であったのが,現在では検診などでスクリーニングに用いられるほど一般化されてしまっている.
心電図の最前線という今月の主題にあたり,上記したような心電図の歴史をひもといてみると,膨大な時間と経験の積み重ねが土台となって今日の心電図学の発展をみたという実感が,改めて思い起こされる.
心電図の最前線という今月の主題にあたり,上記したような心電図の歴史をひもといてみると,膨大な時間と経験の積み重ねが土台となって今日の心電図学の発展をみたという実感が,改めて思い起こされる.
掲載誌情報