文献詳細
文献概要
今月の主題 尿中低分子蛋白の測定と意義 性状・測定法・意義
β2-マイクログロブリン
著者: 下條信雄1 中恵一1
所属機関: 1大阪市立大学医学部臨床検査医学教室
ページ範囲:P.857 - P.862
文献購入ページに移動 β2-マイクログロブリン(β2-m)は,100個のアミノ酸から成る単鎖ポリペプタイドで,生体内ではほとんどの有核細胞で産生され,血液,尿,体液中に微量に存在する.またβ2-mはHLAの共通フラグメントであり,透析患者のアミロイドの構成蛋白でもある.その機能として免疫学的な役割が注目され,特にリンパ球機能との関連が重視されている.低分子のため腎糸球体で濾過され,ほとんどが尿細管で再吸収,異化される.腎尿細管障害時や,血中濃度上昇時に尿中排泄は増加する.測定にはRIA法,EIA法,LIA法などの感度および精度の高い方法が用いられている.LIA法および一部のEIA法では,すでに自動分析装置による測定が施行されている.
腎疾患以外に,悪性腫瘍,自己免疫疾患,免疫不全などでも血中β2-mが上昇し,これらの診断のみならず病態解明の手段として,今後の研究の進展が期待される.
腎疾患以外に,悪性腫瘍,自己免疫疾患,免疫不全などでも血中β2-mが上昇し,これらの診断のみならず病態解明の手段として,今後の研究の進展が期待される.
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