icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査32巻8号

1988年08月発行

文献概要

今月の主題 尿中低分子蛋白の測定と意義 性状・測定法・意義

レチノール結合蛋白

著者: 金井正光1 勝山努1 須原聡2

所属機関: 1信州大学医学部臨床検査医学教室 2信州大学医学部第二内科

ページ範囲:P.875 - P.885

文献購入ページに移動
 分子量1〜4万の低分子蛋白(LMWP)は正常ヒト血中に微量に存在するが,その異化は大部分が腎で行われる.腎糸球体におけるLMWPのglomerular sieving coefficient(GSC)はアルブミンのそれに比べて著しく大きいために,正常人糸球体濾液中にLMWPのβ2—mやRBPなどはアルブミンとほぼ匹敵する濃度に存在する.糸球体濾液中のアルブミンやLMWPは近位尿細管で大部分再吸収後に異化され,尿中には微量しか排泄されない.しかし,高度の尿細管障害時には糸球体濾液中の蛋白が大部分尿中に排泄され,アルブミンとLMWPを主成分とした特有の蛋白尿になる.また,LMWPの再吸収能力には閾値があるため,腎不全などでLMWPの血中濃度が閾値以上に上昇するとoverflow型の低分子蛋白尿となる.糸球体性蛋白尿ではLMWPの排泄増加は一般に軽度である.したがって,尿中のLMWP(RBP,β2—m,α1—mなど)の測定は尿細管障害の指標として鋭敏で有用であるが,overflow型と鑑別するために,血中濃度がそれぞれの蛋白の閾値以下であることを確認することが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?